コリン・デイヴィス&ボストン響によるメンデルスゾーンの≪イタリア≫と≪真夏の夜の夢≫組曲を聴いて

コリン・デイヴィス&ボストン響によるメンデルスゾーンの≪イタリア≫と≪真夏の夜の夢≫組曲(1975年録音)を聴いてみました。
このコンビが制作したシベリウスの交響曲全集と同時期の録音ということになります。

ここでの演奏内容はと言いますと、重心を低く取って、暗めのロマンティシズムを伴いながら奏で上げてゆく、といったようなものになっています。すなわち、燦々と陽光が降り注ぐ≪イタリア≫でもなければ、メルヘンの世界に遊ぶ≪真夏の夜の夢≫でもない。両曲ともに、あまり流麗だとは言えそうにない。
全体的にテンポはやや遅め。概して、重々しげな足取りをしていますが、逞しい推進力を持ちながら音楽は進められています。重厚なメンデルスゾーン演奏だとも言えそう。しかしながら、重厚で暗めと言いつつ、メラメラと燃え上がる情熱が備わってもいる。そして、全ての音が充実し切っている。そう、ズシリとした手応えを持った音楽が鳴り響いているのであります。
1970年代のC・デイヴィスの演奏に特徴的だった、男気に溢れていて、逞しさに満ちている音楽が、ここに収められている。
そのうえで、克明な音楽づくりが為されている。一点一画もおろそかにしていない演奏ぶりでもある。そこには、C・デイヴィスの誠実な人間性が投影されているのだと言いたい。
そのようなC・デイヴィスの音楽づくりに加えられている、ボストン響がコクのある響きがまた、この演奏をより一層魅力的なものに、そして、聴き応え十分なものにしてくれている。

なるほど、メンデルスゾーンらしくない演奏だと言えるかもしれませんが、熱くて(かつ、厚みがあって)、充実感タップリの、素晴らしい演奏であります。