フレモー&バーミンガム市響によるマスネの≪ル・シッド≫からバレエ音楽と≪絵のような風景≫の2曲を聴いて
フレモー&バーミンガム市響によるマスネの≪ル・シッド≫からバレエ音楽と≪絵のような風景≫の2曲(1971年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
マスネの音楽の魅力、それは、抒情性に満ちていて、軽妙であり、オシャレな感覚に溢れているところにあるように思います。マスネが生み出す旋律は、甘く、そして、美しい。
ここで演奏されている2曲にも、そのような特徴がよく現れていると強調したい。
そのようなマスネの作品に対する、ここでのフレモーの演奏はと言いますと、鮮明であり、かつ、明確な音像によって描き出していこう、といったものになっています。
曖昧模糊であったり、おぼろげであったり、といった演奏とは対極にあると言えましょう。そのような意味において、パレーが作り上げてゆく音楽に似ているようにも思えます。
見通しが良くて、メリハリが効いていて、明快な演奏。そのうえで、直線的であり、ダイナミックであり、エネルギッシュな演奏が展開されています。
その結果として、なんとも痛快な演奏となっている。しかも、作品の性格に由来して、爽快でもある。この2曲に相応しい瀟洒な音楽世界が、明瞭な映像を伴って広がってゆくような演奏となってもいます。
このようなスタイルで演奏されてゆくマスネも、とても素敵だと思います。