ハレル&マリナー&クリーヴランド管によるサン=サーンスのチェロ協奏曲第1番を聴いて

ハレル&マリナー&クリーヴランド管によるサン=サーンスのチェロ協奏曲第1番(1981年録音)を聴いてみました。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

マリナーがクリーヴランド管を指揮しているという、とても珍しい音盤。
ちなみに、ハレルは20代の時に、クリーヴランド管の首席奏者を務めていました。いわば、以前の仲間内との共演となります。そこにマリナーが招かれてのレコーディング。そんなふうに看做せそうな音盤であります。

さて、ここでの演奏はと言えば、颯爽としていて晴朗で、清潔感が漂っていて、かつ、流麗なものとなっています。それは、ハレルによるチェロからも、マリナーによる指揮からも感じ取ることができる。
音楽をバリバリと鳴り響かせてゆく、といったものにはなっていない。端正で、凛とした音楽が奏で上げられているのであります。
しかも、ハレルによるチェロは、技巧面での安定感が抜群。更には、これみよがしに巧みさをひけらかすような演奏ぶりではないところが、とても好ましい。音色は美しく、瑞々しい。歌い口は自然で滑らかあり、そのうえで、フレージングには目鼻立ちのクッキリとした鮮やかさがある。そして、チェロならではの伸びやかにして朗々とした歌を、そこここで感じることができる。その歌は、屈託のないものでもある。
そんなこんながまた、流麗さや端正さへと繋がっているのだと言いたい。
そのようなハレルに対して、マリナーによる音楽づくりもまた、スマートで、スッキリとしたものとなっています。クリーヴランド管の精緻なアンサンブルと、透明感のある響きが、そのことを一層引き立ててくれているようにも思える。

何もかもが、わだかまりなく胸にストンと落ちてくるような演奏になっている。それは、豊かな音楽センスを裏付けにしているが故なのでもありましょう。
ハレルとマリナー&クリーヴランド管の美質が滲み出ている秀演。そんなふうに言いたくなる演奏であります。