ケンペ&シュターツカペレ・ドレスデンによる『ウィンナ・ワルツ・コンサート』を聴いて

ケンペ&シュターツカペレ・ドレスデン(SKD)による『ウィンナ・ワルツ・コンサート』(1972,73年録音)を聴いてみました。
収録されている作品は、下記の6曲。
J・シュトラウスⅡ ≪こうもり≫序曲
〃     ≪ウィーンの森の物語≫
ヨーゼフ・シュトラウス ≪天体の音楽≫
スッペ ≪ウィーンの朝、昼、晩≫序曲
レハール ≪金と銀≫
J・シュトラウスⅡ ≪うわき心≫

なんとも格調の高い演奏が繰り広げられています。
ケンペならではの堅実な音楽づくりが為されています。楷書風な演奏ぶりだとも言えそう。それでいて、角ばっていたり、堅苦しかったり、といったとことは微塵も感じられない。充足感いっぱいで、しかも、優雅な音楽が鳴り響いている。決して浮足立つようなところがないものの、愉悦感に満ちてもいる。
その先からは、底光りするような美が立ち上がってきている。それは、典雅だというような言葉では表し切れないほどの、無垢な美だとも言えよう。
そのようなケンペによる音楽づくりに花を添えるSKDの、清潔感に満ちていて凛としている美音がまた、この演奏を一層魅力的なものにしてくれています。馥郁とした香りが立ち昇ることとなってもいる。
そのような演奏ぶりによって奏で上げられてゆくここでの6曲の中でも、≪天体の音楽≫における気高くゆらゆらと揺れ動くような様の美しさ、≪ウィーンの朝、昼、晩≫序曲における弾けるような律動感から生まれる輝かしさ、そして、≪金と銀≫における凛々しさを秘めた煌めきと流れの滑らかさは、とりわけ印象的であります。

極上の音楽が刻まれている1枚。
そんなふうに言いたくなる、なんとも素敵な音盤であります。