ルドルフ・ゼルキン&ブダペスト弦楽四重奏団によるブラームスのピアノ五重奏曲を聴いて

ルドルフ・ゼルキン&ブダペスト弦楽四重奏団によるブラームスのピアノ五重奏曲(1963年録音)を聴いてみました。
堅固にして雄渾で、重厚で、なおかつ、濃密な演奏が繰り広げられています。媚びを売るようなところが皆無で、頗る真摯な音楽が奏で上げられてもいる。
いやはや、カッチリとした構成の中から、この作品ならではのロマンティックな風情が漂ってくる演奏となっています。そして、力感に溢れている。音楽が豊かに息づいていて、かつ、存分にうねっている。曲想に応じて、音楽がグングンと昂揚することもしばしば。しかも、恰幅が良くもある。
決して派手な振る舞いが為されている訳ではないものの、充分に華やかな音楽が鳴り響いています。それは、ロマン派の音楽に相応しいもの。そして、生気に溢れている。
その一方で、コクの深さや、滋味深さが感じられもする。剛直な演奏だと言えそう(とりわけ、スケルツォ楽章となる第3楽章において、その感が強い)なのですが、全編を通じて暖かみや優しさのようなものが滲み出ているとも言いたい。ある種、包容力のようなものが感じられるのであります。
そのうえで、凝縮度が頗る高くもある。それ故に、結晶度の高い音楽が鳴り響くこととなっている。
更に言えば、5人の奏者による語らいが、とても緊密であります。であるからこそ、感興豊かな音楽が生まれているのだと言えましょう。
そのような演奏ぶりによって、グランドマナーが貫かれていて、堅牢で、なおかつ、興趣溢れる音楽が鳴り響いている。
作品の醍醐味を満喫することのできる、なんとも見事な演奏であります。





