レッパード&イギリス室内管によるバッハの≪ブランデンブルク協奏曲≫全6曲を聴いて

レッパード&イギリス室内管によるバッハの≪ブランデンブルク協奏曲≫全6曲(1974年録音)を聴いてみました。
第2番と4番のリコーダー演奏には、1976年に33歳と9ヶ月で早逝したデイヴィッド・マンロウが参加をしています。また、第5番でのチェンバロは、レッパード本人によるもの。
レッパード(1927-2019)は私が絶大な信頼を寄せている指揮者の一人。音楽センスが抜群で、端正な演奏ぶりの中に、それぞれの作品が宿している魅力を率直に表現してくれる指揮者だと考えているのですが、この≪ブランデンブルク協奏曲≫でも、素晴らしい演奏を繰り広げてくれています。
最初の音が耳に飛び込んでくるやいなや、その清新にして雰囲気豊かな響きに心がときめいてしまいます。心がとろけてしまう、と言っても良いかもしれない。そして、一気に幸福感に包まれてゆく。
全編を通じて、誠実な音楽づくりを土台にしながら、生き生きと弾けていて、キリリと引き締まっていながらふくよかでもある(この両者が矛盾することなく共存しているのであります)音楽が奏で上げられています。気品に満ち溢れていて、凛としていながら暖かみを備えている。そして、どこまでも伸びやかでもある。晴れやかで流麗で、隅々にまで血が通ってもいる。そんなこんなのうえで、誠に清々しい音楽が鳴り響いている。それは、爽やかな一陣の風が吹いてゆくような演奏だとも言えましょう。
その結果として、肩肘張らずにバッハの世界に身を置くことができる。スッキリとしていながらも味わい深くて、格調の高い演奏ぶりを通じて。
レッパードの音楽センスの高さが如実に現れている、頗る魅力的な演奏だと言えましょう。
更には、マンロウによる闊達で端正で生気に溢れたリコーダーをはじめとして、ニール・ブラックによるオーボエや、ガルシアによる独奏ヴァイオリンなど、ソリスト陣も充実している。
いやはや、なんとも素敵な≪ブランデンブルク協奏曲≫であります。





