モントゥー&ウィーン・フィルによるベルリオーズの≪幻想≫を聴いて

モントゥー&ウィーン・フィルによるベルリオーズの≪幻想≫(1958年録音)を聴いてみました。

逞しさと格調の高さとを併せ持った演奏となっています。
前者については、モントゥーの志向に依るところが強いと言えましょう。録音当時、モントゥーは83歳でありましたが、「万年青年」と評したくなるほどに晩年においても若々しくて頑健で、生気に富んだ演奏を展開することの多かったモントゥー。そこには、音楽に対する真摯なまでの情熱と活力の発露を見ることができる。そのことは、この≪幻想≫においても、ハッキリと窺うことができます。
そう、ここでは、推進力に満ちていて、かつ、屈強な音楽が奏で上げられています。充分に熱狂的でもある。とは言うものの、決して力任せな演奏にはなっていない。とてもしなやかな演奏が繰り広げられている。滑らかで、弾力性を帯びてもいる。
そのうえで、誠に典雅な雰囲気を湛えています。この辺りは、ウィーン・フィルの体質に依るところも大きいと言えそう。柔らかさや、まろやかさを帯びてもいる。
更に言えば、薫り高い演奏となっている。この点については、モントゥーとウィーン・フィルの両者の特質が融合された結果だと言えるのではないだろうか。そう、モントゥーの、フランス人指揮者としての面目躍如たるところだとも思えるのであります。とても格調高くもある。
そんなこんなによって、「エレガントな熱狂」と呼びたくなるような感興を湛えている≪幻想≫が鳴り響くこととなっています。しかも、奇怪な雰囲気の立ち昇らない演奏となっている。

モントゥー&ウィーン・フィルの双方の美質がクッキリと刻まれている、独自の魅力を湛えた、なんとも素敵な≪幻想≫であります。