アンセルメ&スイス・ロマンド管によるフランス・オペラ序曲集を聴いて

アンセルメ&スイス・ロマンド管によるフランス・オペラ序曲集(1960年録音)を聴いてみました。
収められているのは、下記の6曲。
ラロ≪イスの王様≫
オーベール≪黒いドミノ≫
エロ―ルド≪ザンパ≫
オッフェンバック≪美しいエレーヌ≫
オーベール≪フラ・ディアヴォロ≫
オッフェンバック≪天国と地獄≫
当盤は、高校1年生の時に購入したもの。この1枚によって、華やかで、かつ、瀟洒な雰囲気に包まれているフランスオペラの序曲に慣れ親しんでいったものでした。
特に気に入ったのは、エロールドの≪ザンパ≫と、オッフェンバックの≪美しいエレーヌ≫。≪ザンパ≫序曲の後半に出てくる優美な旋律は、ラジオでのクラシック音楽番組のエンディングテーマとして使われていたこともあり、とても親しみやすかった。また、≪美しいエレーヌ≫序曲での、聴く者を心弾ませてくれる快活さには、大いに魅了されたのでありました。
その2曲に限らず、この1枚には、なんともオシャレで、そして、彩り豊かな音楽が刻まれています。そのことは、作品についても、演奏についても当てはまります。
ここでのアンセルメの演奏ぶりは、いつも通りに克明なもの。知的で、怜悧な演奏ぶりが示されています。キリっとした表情を湛えてもいる。
そのうえで、オペラの序曲というジャンルならではの、心弾む性格もシッカリと刻まれています。何と言いましょうか、人懐っこくて、愛嬌たっぷりな演奏となっているのです。基本的には硬質な音楽づくりが為されているのですが、そのような中にも肌触りの柔らかさや滑らかさや、更には、「遊び心」が加えられているようにも感じられる。
そして、音楽に勢いがある。それはまさに、オペラの幕が上がる前のワクワクとした期待感にも繋がるようなものだと言えましょう。聴いていてウキウキとした気分にさせられます。曲調が次々と変転してゆく様を(それは、劇中の旋律が採り入れられていたりもするのでしょう)追ってゆくのが、とても楽しくもある。
そんなこんなもあり、明晰でいて、小粋で、快活で、晴れやかで、明朗な音楽が響き渡ることとなっている。そして、格調高い演奏が展開されてゆく。
選曲は、ベルリオーズを除いたところでの、フランスでのロマン派に位置する主要なオペラ作曲家の作品がずらりと並んでいる、といったラインナップ。
(ビゼーやマスネによるオペラには、序曲は付けられてなく、前奏曲が添えられています。抜けている主要なオペラ作曲家による序曲と言えば、トマの作品などが挙げられましょうか。)
選曲と言い、演奏内容と言い、実に魅力的な1枚であります。





