パレー&デトロイト響によるラヴェル集を聴いて

パレー&デトロイト響によるラヴェル集(1961,59,58年録音)を聴いてみました。
収められているのは、下記の3曲。
≪ダフニスとクロエ≫第2組曲
≪高雅にして感傷的なワルツ≫
≪ボレロ≫
パレーならではの、克明であり、かつ、骨太で剛毅な演奏が繰り広げられています。
3曲とも、速めのテンポを基調としながら、粘ることなく音楽は進められてゆく。そこからは、脇目も振らずに一直線に音楽を進めてゆく、といった風情が感じられる。
しかも、輪郭線は、頗る明瞭。キッチリカッチリと音楽は進められてゆく。そのために、とてもクリアな音楽が鳴り響いています。逞しい生命力を宿しながら。
そのうえ、誠に客観的な演奏となっている。私情を挟むことなく、即物的とも言えそうな演奏ぶりが示されている。そのために、ある種、メカニカルな演奏であるとも言えそう。そして、決然とした態度が貫かれることとなっている。
それでいて、ここから先が誠に不思議なのですが、決して無味乾燥な音楽にはなっていない。なるほど、ストレートで、パリッとシャキッとした音楽が奏で上げられているのですが、その一方で、潤いが感じられる。膨らみを持っていて、ふくよかさや、柔らかみを備えてもいる。私情を排しているのですが、詩情豊かでもある。それは、フランス音楽ならではのエスプリに繋がってゆくような空気感を持ったものだとも言えそう。
≪ダフニス≫の第2組曲の前半部分では、明快な音楽づくりでありつつも、たゆたうような雰囲気が十分に出ていて、冴え冴えとした音楽が奏で上げられています。それとは対照的に、最後の「全員の踊り」では、音楽が力強く驀進してゆく。生気に溢れていて、誠に鮮烈でもある。
続く≪高雅にして感傷的なワルツ≫では、毅然とした演奏ぶりが示されていつつ、この作品に相応しい瀟洒な雰囲気に不足のない演奏が展開されている。
脇目も振らずに一直線に音楽を進めてゆく、という演奏態度は、この3曲では≪ボレロ≫に最も顕著に現れているのではないでしょうか。音楽の流れに滞りは全くなく、ひたむきに前進してゆく、といった風情がある。その様は、実に気風が良い。そのうえで、色彩感に富んだものとなっている。それよりも、精彩に富んでいると言ったほうが、より一層相応しいでしょうか。
パレーの手際の鮮やかさが如実に伝わってくる演奏。そんなふうに言えましょう。
更には、パレーの音楽性の豊かさが痛感できる、ユニークな魅力に満たされた、なんとも素敵なラヴェル演奏であります。





