シューベルトの誕生日に、ワルター&コロンビア響による≪ザ・グレート≫を聴いて

今日はシューベルトの誕生日。この日には、可能な限り≪ザ・グレート≫を聴くようにしています。ということで、今年はワルター&コロンビア響による演奏(1959年録音)で聴いてみました。
なんとも穏やかな演奏が繰り広げられています。とても柔和な表情をしている。優しさや暖かみに溢れてもいる。
正直に申せば、この曲には、もっと峻烈な表現があっても良いように思えます。その辺りを優先するのであれば、1946年にニューヨーク・フィルと録音をしたモノラル盤のほうに軍配を上げるべきでしょう。しかしながら、このステレオ盤での超然とした演奏も、抗し難い魅力を備えている。
穏やかでありつつも、充分に律動感に溢れていて、立体的な音楽づくりがなされています。リズムがきっちりしていて、音価が厳密に守られており、息遣いは自然でかつ生き生きとしている。更に言えば、単に温厚な演奏なだけでなく、気宇の大きさが感じられもする。
そういったことはまさに、隅々にまで指揮者の意志が行き渡っているが故なのでありましょう。そんなこんなが相まって、必要十分に逞しい生命力の感じられる演奏となっている。そして、音楽の表情が凛としてもいる。シューベルトならではの歌心や、抒情的な雰囲気にも不足がない。
そのうえで、ワルターの「人間性の大きさ」が滲み出ているとも言いたい。
音楽が微笑みかけてくるような演奏。
ワルターならではの音楽世界が広がっている、聴き応え十分で、かつ、実に趣き深い、頗る魅力的な≪ザ・グレート≫であります。





