パーヴォ・ヤルヴィ&N響によるR・シュトラウスの≪アルプス交響曲≫を聴いて

パーヴォ・ヤルヴィ&N響によるR・シュトラウスの≪アルプス交響曲≫(2023年ライヴ)を聴いてみました。
図書館で借りたCDでの鑑賞になります。
目鼻立ちのクッキリとした演奏が展開されています。音像が、とてもクリアな演奏となっている。
それは、冒頭から明らかで、「日の出」の箇所などは、スッキリと晴れ渡っていて、冴え冴えとしていて、そして輝きに満ちた音楽が鳴り響くこととなっています。その直後の「登り道」では、意気軒昂と山登りを始めた様が、明瞭に描き上げられている、といったふう。
かように、描写力に優れた演奏になっているとも言えましょう。そのために、目の前に大パノラマが広がってゆくかのよう。しかも、明瞭な稜線を伴って、その景色が広がっている、といった風でもある。
パーヴォは、もともとがエッジを効かせた音楽づくりを志向する指揮者だと看做していますが、この演奏では、そのような姿勢が明確に表されていると思えてなりません。曖昧さがなく、真っすぐな音楽づくりが為されてもいる。
そのようなこともあり、贅肉を削ぎ落としたような演奏になっている訳なのですが、それでいて、充分に豊麗でもあります。
更には、R・シュトラウスの音楽に相応しい、とりわけ、この≪アルプス交響曲≫という作品に相応しい、絢爛豪華な音楽世界が、クッキリと広がってゆくこととなっている。しかも、決して厚化粧した姿ではなく、「凛々しい華麗さ」と形容したくなるような様態でもって。
そのうえで、生気に溢れた演奏となっている。押し出しの強さも十分。嵐の中の下山の場面などは、なんとも鮮烈な音楽が鳴り響いています。音楽が、渦を巻きながら突き進んでゆく、といった風でもある。
そのような演奏を具現化したN響の機能性の高さも、称賛に値しよう。しかも、充分に逞しさを宿していながら、響きや肌触りが滑らかなものになっていて、かつ、艶やかさを備えたオーケストラ演奏が展開されており、誠に立派だと言いたい。更には、音の粒がクッキリと立ってもいる。
そんなN響を、パーヴォが思う存分にドライヴしたが故の演奏なのだとも言えそう。
パーヴォは、この前年の2022年にN響の首席指揮者を退任している訳ですが、ここには、このコンビが獲得することのできた「豊饒な稔り」が刻まれている。そんなふうに言わずにはおれません。
なんとも見事な、そして、惚れ惚れするほどに素敵な≪アルプス交響曲≫であります。





