ペーター・ダム&ケンペ&シュターツカペレ・ドレスデン(SKD)によるR・シュトラウスのホルン協奏曲第1,2番を聴いて

ペーター・ダム&ケンペ&シュターツカペレ・ドレスデン(SKD)によるR・シュトラウスのホルン協奏曲第1,2番(1975年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

ダムは、SKDの首席ホルン奏者。そして、長らく、SKDの看板奏者のような存在でありました。SKDのホルン・セクションは、柔らかくて清らかで、しかも光沢のある響きが特徴的でありますが、その象徴である奏者だとも言えそう。

さて、ここでのR・シュトラウスですが、そのようなダムの特徴が如実に現れていると思います。柔らかみがあって、明るい響きがしている。キリっとしていつつ、膨らみがあって、暖かみを帯びている。しかも、ハリがありつつ、しっとりとしてもいる。そう、確かに光沢のある音なのですが、決してケバケバしくはなく、凛々しくて、気品の感じられる音となっている。
しかも、テクニックも万全。それは、切れ味鋭いというよりも、堅実に音楽を吹きこなしてゆく、といった類のものだと言えそう。そのうえで、充分に軽妙でもあります。この2曲の協奏曲は、軽快なパッセージが随所に散りばめられていますが、そのような音句を、軽やかで伸びやかに、そして、弾力性を持って吹いてゆくダム。その様は、実に見事であります。そして、豊かな音楽センスが感じられます。
そのようなダムをサポートしてゆくケンペ&SKDの、なんと魅力的なこと。このコンビによるR・シュトラウスの管弦楽曲での演奏同様に、適度に煌びやかで、艶やかで、しかも凛とした音楽が鳴り響いています。

R・シュトラウスのホルン協奏曲の魅力を堪能することのできる、素晴らしい演奏であります。