アンチェル&チェコ・フィルによるマルティヌーの交響曲第6番≪交響的幻想曲≫を聴いて

アンチェル&チェコ・フィルによるマルティヌーの交響曲第6番≪交響的幻想曲≫(1956年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

マルティヌー(1890-1959)が、1953年にボストン響の依頼によって書き上げた、彼にとっての最後の交響曲になります。
世界初演は、ミュンシュ&ボストン響によってなされましたが、マルティヌーの祖国、チェコでの初演は、この音盤でのコンビであるアンチェル&チェコ・フィルによってなされています。

さて、ここでの演奏はと言いますと、逞しい生命力が宿っていて、野太さのようなものが感じられるものとなっています。アンチェルらしい、剛健な演奏が繰り広げられている。更に言えば、毅然としたものとなっている。
アンチェル(1908-1973)にとっては、同郷の、しかも同時代を生きた作曲家による作品ということもあって、強い共感が示されていると言えましょう。そのために、実に生き生きとした演奏となっている。音楽が、うねりにうねっている。
そのうえで、標題でも表されている幻想的な雰囲気、ロマンティックな感興も、クッキリと表されている。それは、「精悍とした佇まいの中から立ち昇るロマンティシズム」、とでも呼べそうなものであるのだが。

アンチェルの美質がクッキリと現れていて、かつ、この作品の魅力をタップリと味わうことのできる、なんとも素晴らしい演奏であります。