ゲルギエフ&マリンスキー管によるスクリャービンの≪プロメテウス - 火の詩≫を聴いて

ゲルギエフ&マリンスキー管によるスクリャービンの≪プロメテウス - 火の詩≫(1997年録音)を聴いてみました。ピアノ独奏は、トラーゼ。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

なんとも逞しくて、骨太で生命力に溢れた演奏となっています。豪快で頑健で、剛毅でもある。
それでいて、決して粗暴ではなく、妖艶であり、精密でもあります。そう、妖しいまでの色彩感が感じられ、精妙な音楽が鳴り響くこととなっている。生彩感に富んでいて、鮮烈でもある。そして、音楽が至る所でうねっていて、煽情的でもある。そんなこんなのうえで、やはり、逞しさの備わっている演奏だという印象が強い。
これらのことは、スクリャービンの音楽を演奏するには欠かせない要素であると言えましょう。そう、ここで鳴り響いている音楽は、まさに、スクリャービンそのものだと思えてくるものとなっているのであります。それはまた、ゲルギエフの音楽性の美質が生かされた結果だとも言えそう。
そのようなゲルギエフの音楽づくりの中で、トラーゼは、強靭かつ鋭利で、精彩なピアノを聞かせてくれていて、この演奏により一層の鮮やかさを添えてくれている。

この作品の、そして、スクリャービンの魅力をタップリと味わうことのできる、大きな説得力を持った素敵な演奏であります。