ラトル&バーミンガム市響によるニールセンの≪不滅≫を聴いて

ラトル&バーミンガム市響によるニールセンの≪不滅≫(1984年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

ラトル(1955年生まれ)が30歳になる直前に録音された、この演奏。新進気鋭の指揮者としてクローズアップされていた時期のレコーディングらしく、覇気が漲っていて、かつ、瑞々しい感性に彩られた演奏が繰り広げられています。
明快で、抒情性が豊かで、歌謡性に溢れていて、壮麗であり、豪快さも充分。伸びやかで、しなやかでもある。そして、輝かしくて、逞しくて、劇性の強い演奏となっている。
そのうえで、毅然とした表情をしているところが、ニールセンの音楽に相応しいと言えましょう。それは、英国人であるラトルの、ノビルメンテな性格に依っているのかもしれません。と言いますのも、ニールセンの音楽は、イギリス音楽的と言えるような、紳士然としていて、かつ、凛然としていて、威風堂々な風情を持っているように感じられるのですが、そのような性格が、この演奏からは自然と滲み出ているように思えるからであります。

若き日のラトルの、豊かな音楽性がクッキリと刻まれている演奏。とても率直であり、かつ、聴き応え十分な演奏が展開されている。
作品の魅力をキッチリと再現してくれている、そして、勢いがあり、豪壮でもある、素敵な素敵な演奏であります。