パールマン&ロストロポーヴィチ&ハイティンク&コンセルトヘボウ管によるブラームスの二重協奏曲を聴いて
パールマン&ロストロポーヴィチ&ハイティンク&コンセルトヘボウ管によるブラームスの二重協奏曲(1979録音)を聴いてみました。
当盤は、オイストラフ&ロストロポーヴィチ&セル&クリーヴランド管とともに、同曲での私のベスト盤となっています。
ドッシリと構えた演奏ぶりによって充実した音楽が奏で上げられていて、かつ、熱気がムンムンしている演奏となっています。
ここで鳴り響いている音楽は、実に豊麗なもの。雄渾にして、壮麗な演奏となっています。なおかつ、音楽全体の安定感は抜群。なんとも周到な演奏が展開されている。そのうえで、凝縮度が誠に高い。しかも、息遣いが豊か。その歩みは、淀みなく流れる大河のよう。
更に言えば、逞しい生命力に満ちたものとなっています。決して派手ではないものの、底光りするような輝かしさがある。ブラームスの音楽に相応しい「うねり」を、そこここで感じることができる。両端の急速楽章では、必要十分な律動感が備わっている。そして、過剰にならない範囲でドラマティックでもある。
そのような演奏を実現しえた功労者は、この演奏に参加している全ての演奏者であると言えましょう。そう、2人の独奏者も、指揮者もオケも、皆が見事な音楽を奏で上げてくれています。
しなやかで艶やかな美しさを湛えていて、かつ、抒情性にも富んでいるパールマン。雄大に、そして朗々と歌いこんでゆくロストロポーヴィチ。そのような2人をしっかりと包み込んでゆくハイティンク&コンセルトヘボウ管。
それぞれが持てる能力の全てを注ぎ込んでいると言いたい。更には、ブラームス最晩年の傑作を最善の形で再現してゆくのだ、という強い意志がヒシヒシと感じられてくる。
この作品の魅力を存分に味わうことのできる、充実感いっぱいの、見事な演奏であります。