ボールト&ロンドン・フィルによるエルガーの≪威風堂々≫全5曲を聴いて

ボールト&ロンドン・フィルによるエルガーの≪威風堂々≫全5曲(1976,77年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

ボールト(1889-1983)は、この時90歳を迎えるちょっと前なのですが、そのようなことが信じられないほどに、矍鑠とした演奏ぶりが示されています。いや、若々しいとさえ言えそう。
しかも、実に風格豊かな演奏が繰り広げられています。その様は、まさに「威風堂々」としている。そして、ノビルメンテ(高貴で、上品で、気品のある様)な感興に満ち満ちている。壮麗な音楽でもある。或いは、宏壮だと言った方が良いかもしれません。そう、とても広々とした音楽世界が広がっているのであります。
その一方で、覇気が漲っています。壮健な演奏ぶりだとも言えそう。堅牢でもある。
揺るぎない自信に満ちた演奏が繰り広げられている。そして、何から何までが様になっている。平たく言えば、とてもカッコイイ演奏となっているのであります。
更に言えば、演奏のどこからも誇張が感じられない。息遣いが自然で、伸びやか。颯爽とした演奏ぶりが示されています。そこからは、清々しささえ感じられる。そのうえで、暖かみが感じられもする。この辺りは、ボールトの人間性の現れなのでしょう。

聴いていて惚れ惚れしてくる、なんとも素晴らしい演奏であります。