シノーポリ&シュターツカペレ・ドレスデンによるリストの≪ダンテ交響曲≫を聴いて
シノーポリ&シュターツカペレ・ドレスデン(SKD)によるリストの≪ダンテ交響曲≫(1998年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
ドラマティックであり、エネルギッシュな演奏であります。力感たっぷりで、逞しい生命力が宿っている。明快であり、目鼻立ちがクッキリとしてもいる。この辺りは、オペラを得意としているシノーポリの美質がクッキリと現れた結果だと言えそう。
それでいて、野放図な演奏とはなっておらず、キリッと引き締まった音楽が奏で上げられています。この辺りについては、SKDの体質に依るところが大きいのではないでしょうか。そう、ここで聴くことのできるオケの響きは、清冽にして潤いのある、頗る美しいものとなっている。そして、純度の高い音が鳴り響いている。凝縮度が高くもある。しかしながら、艶やかで、豊麗さを欠いてもいない。
そのようなSKDを自在に掻き鳴らしながら、シノーポリは、この作品に相応しい壮麗な音楽を奏で上げてくれている。劇性に富んでもいる。抒情的な美しさに満ちてもいる。最後の「マニフィカト」などは、現実離れしたような夢想感を伴った美しさが、クッキリと浮かび上がっている。
全編を通じて、頗る充実度の高い演奏が繰り広げられ、かつ、美しい音楽が鳴り響いています。
この、決してメジャーとは言い切れない作品を、存分に楽しむことのできる演奏が展開されている。
いやはや、実に素敵な演奏であります。