ザンデルリンク&シュターツカペレ・ドレスデンによるフランクの交響曲を聴いて
ザンデルリンク&シュターツカペレ・ドレスデン(SKD)によるフランクの交響曲(1964年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
ザンデルリンクにとっても、SKDにとっても、珍しいレパートリーと言えましょう。ともに、同曲の録音は、これが唯一なのではないでしょうか。
その演奏はと言えば、堅実にして、熱気に溢れたものとなっています。芯の強さのようなものを備えた演奏となっている。しかも、端正な佇まいをしていつつも、音楽が随所でうねっている。
エネルギッシュで、ドラマティック、推進力に満ちた演奏が展開されていながらも、息遣いが頗る自然。音楽が、収まるべきところにシッカリと収まっている、といった感が強い。そのうえで、逞しいまでの生命力が漲っている。
その一方で、第2楽章に代表されるように、抒情性に溢れている。キリっとした表情をしていて、凛とした音楽が鳴り響いてもいる。そして、清澄な歌心に満ちている。清廉な演奏だとも言いたい。
そのようなザンデルリンクの音楽づくりに、清潔感に溢れた美音を鳴り響かせてくれているSKDがまた、実に魅力的。この演奏を、より一層格調の高いものにしてくれている。
ザンデルリンク&SKDのコンビは、1970年代の初頭に制作したブラームスの交響曲全集をはじめとして、このフランクと同時期の録音であるボロディンやチャイコフスキー等々、実に味わい深い録音を残してくれています。このフランクもまた、このコンビの美質がギッシリと詰まっている、見事な演奏となっている。
あまり話題に上ることのない音盤だと言えましょうが、多くの音楽愛好家に聴いてもらいたいものであります。