マズア&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管によるブラームスの交響曲第1番を聴いて

マズア&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管(LGO)によるブラームスの交響曲全集から第1番(1977年録音)を聴いてみました。

このような演奏を、「渋い」演奏と言うべきなのでありましょうか。(ここでの「渋い」は、良い意味で。)
派手さの全くない演奏であります。それはもう、ひたすらに質実なもの。しかも、決して剛毅であったり、猛々しかったり、といった演奏でもありません。肩の力の抜けている演奏だと言えましょうか。
それでいて、重厚感がタップリ。重心を低く採りながら、どっしりと構えた演奏が展開されています。しかも、力感にも不足はない。それは、底光りするような力強さだとも言えそう。
そのような演奏ぶりから、作品に真っ正面から対峙する、といった姿勢がハッキリと窺えます。更には、その先に古雅な雰囲気が立ち込めてくるかのよう。まるで、古武士を目の当たりにするかのような雰囲気が醸し出されてもいる。
更に言えば、ここでのLGOのくすんだ響きが、古雅な雰囲気を一層強めてくれています。しかも、充実感たっぷりな響きで敷き詰められている。
自然体の「美」に溢れている演奏。であるからこそ、作品の素晴らしさをストレートに感じることができる。
「ブラームスを聴いた」という充足感に浸ることのできる、実に立派な、そして、素敵な演奏であります。

マズアは、我が国では今一つ人気の低い指揮者であると言えるかもしれませんし、地味な存在だとも言えましょうが、もっともっと多くのリスナーに聴いてもらいたい指揮者のひとり。特に、このブラームスは、強くお薦めしたい!!