シャイー&コンセルトヘボウ管によるマーラーの≪巨人≫を聴いて

シャイー&コンセルトヘボウ管(RCO)によるマーラーの≪巨人≫(1996年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。

なんとも明朗で、快活な演奏であります。そして、とても美麗。
全編を通じて、伸びやかにして、屈託のない演奏が繰り広げられています。若々しくて、瑞々しくて、颯爽としていて、晴れやかでもある。どこにも、わだかまりのない演奏ぶりだとも言えそう。エネルギッシュにして、ダイナミックでもある。そのうえ、艶やかでもある。
しかも、まろやかさを兼ね備えてもいる。仕上げが滑らかでもある。そういった、まろやかさや、滑らかさは、RCOゆえのことでもありましょう。このオーケストラならではの響きの芳醇さを、あちこちから感じ取ることができます。更に言えば、普段のRCOと比べると、随分と開放的な音がしているようにも思える。とは言いつつも、過度に輝かしくなったり、ケバケバしい響きとなったり、といったことがないのは、RCOらしいところだと言えそう。
そのようなRCOを相手に、シャイーは、高らかに、かつ、率直に、作品全体を謳い上げている。
そのような演奏ぶりが、この作品の音楽世界には誠に似つかわしいと言えましょう。

どこにも葛藤のない、調和の取れた、そして、実に美しいマーラー演奏。聴いていて誠に心地良くもある。
≪巨人≫という作品が持っている、フレッシュにして朗らかな性格も相まって、頗る魅力的な演奏になっていると思います。