オーマンディ&フィラデルフィア管によるプロコフィエフの≪古典≫と≪三つのオレンジへの恋≫を聴いて
オーマンディ&フィラデルフィア管によるプロコフィエフの≪古典≫と≪三つのオレンジへの恋≫(1961,63年録音)を聴いてみました。
このコンビらしい華麗な演奏が展開されています。音楽があちこちで煌めいている。それでいて、下品になっていない。マイルドな音楽が鳴り響いている。とても端正な演奏となっている。
しかも、合奏力の高さが如実に表されています。それは特に、≪古典≫において強く感じられます。余裕をもって音楽を掻き鳴らしている。そんなふうにも言えるように思えます。
その一方で、≪三つのオレンジへの恋≫では、充分にドラマティックで、逞しい。この作品に籠められている、アイロニーや、コミカルでいてシニカルな面白味やも、巧まずして表出されている。
そのような演奏ぶりによって、この2つの作品が、親しみを持って聴き手に近づいてくる。そして聴き手は、音楽を聴く歓びを、それも、オーケストラ曲を聴く歓びを、心行くまで堪能することとなる。
実に見事な、そして、頗る素敵な演奏であります。