ロト&バーデン=バーデン・フライブルク・南西ドイツ放送響によるR・シュトラウスの≪家庭交響曲≫を聴いて
ロト&バーデン=バーデン・フライブルク・南西ドイツ放送響によるR・シュトラウスの≪家庭交響曲≫(2014年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。
ロトによるR・シュトラウスの演奏の特徴は、スッキリとしていて、爽快感に溢れている点にあると考えています。そう、豪華絢爛たる音楽絵巻が繰り広げられるようなことはありません。必要以上に濃厚な音楽が鳴り響くようなこともありません。それよりももっと、清潔感に溢れた、ピュアな音楽となっているように思える。キリっと引き締まってもいる。そして、見通しがとても良い。
この≪家庭交響曲≫でも、颯爽としていて、スリムな演奏が繰り広げられています。と言いつつも、ひ弱な演奏になっている訳ではありません。生き生きとした表情をした演奏が展開されている。そして、生命力の豊かさが充分に感じられる。更に言えば、色彩の鮮やかさを備えたものとなっている。音楽が存分にうねってもいる。
そう、全体的に、精彩感に溢れた演奏となっているのであります。そのために、スッキリとしていつつも、薄味ではない。肥満体ではないものの、豊饒な音楽が鳴り響いている。この辺りは、R・シュトラウスに対する演奏として、誠に似つかわしい。ロトの、R・シュトラウスへの親愛の情の現れだと言えるのではないでしょうか。もっと言えば、ロトの類稀なる音楽センスの現われだとも思える。
そのようなロトの音楽づくりに対して、放送局に所属しているオーケストラらしく、機能性が高くて、ニュートラルな響きを備えている南西ドイツ放送響が、筋肉質に、かつ、緻密に、音楽を奏で上げてくれているのが、この演奏の魅力を引き立ててくれている。それはまさに、ロトの音楽づくりを体現してくれているものだと言えましょう。
ユニークな魅力を湛えている、そして、聴き応えの十分な、素敵な演奏であると思います。