ロジェストヴェンスキー&モスクワ放送響によるプロコフィエフの交響曲第7番を聴いて
ロジェストヴェンスキー&モスクワ放送響によるプロコフィエフの交響曲第7番(1967年録音)を聴いてみました。
ロジェストヴェンスキー(1931-2018)は、ちょうど30歳だった1961年に旧ソ連を代表するオーケストラの一つでありましたモスクワ放送響の音楽監督に就任していますが、
30代の中頃に、そのモスクワ放送響を指揮してプロコフィエフの交響曲全集を完成させており、当盤はその中の1枚。
このプロコフィエフの交響曲全集は、マルティノン&フランス国立放送管、ロストロポーヴィチ&フランス国立管によるものとともに、私の中での規範となっています。
さて、この第7番での演奏はと言いますと、ケレン味がなく、スパッとした切り口を持ったものとなっている。
なるほど、ロジェストヴェンスキーらしく、剛健な造りをした演奏であります。強靭な演奏、と言っても良いかもしれません。それでいて、プロコフィエフ自身が≪青春交響曲≫と呼んでいたこの作品に相応しく、爽やかで晴れやかで快活。才気溢れる演奏となっている。
プロコフィエフの音楽が持っているシニカルでシリアスな性格はあまり強調されずに、もっと率直で明朗な音楽になっていると言えそう。そう、屈託のない演奏ぶりが示されている。
明快を極めた演奏。スリリングで、ドラマティックでもあります。オケのドライブぶりも見事。隅々にまで生気が溢れていて、語り口が雄弁で、スケールが大きい。そのうえで、最終楽章などは、コミカルな味がクリアな形で表されている。
(最後の部分は、陽気な曲調が戻ってこずに静かに曲を閉じるという、オリジナル版が採用されています。)
快活で、颯爽としているプロコフィエフ演奏。であるが故に、聴いていて実に心地が良い。しかも、精悍な表情をしていて、力強い音楽となっている。
なんとも素敵な演奏であります。