マルティノン&フランス国立放送管によるプロコフィエフの交響曲第5番を聴いて
マルティノン&フランス国立放送管によるプロコフィエフの交響曲全集から第5番(1971年録音)を聴いてみました。
克明にして、鮮烈で、精悍な音楽づくりが為されている演奏となっています。そのうえで、典麗でもある。
生気が漲っていて、エネルギッシュでドラマティック。演奏全体が、力感に溢れている。とても煽情的でもある。そのような音楽づくりが、この作品に似つかわしいと言えましょう。
しかも、激情的な演奏ぶりでありつつも、凶暴な音楽にはなっていません。過度に騒々しい音楽とも感じられない。むしろ、エレガントで、格調の高さが感じられる。洗練味を帯びてもいる、それだけに、この作品が持っている悲壮な雰囲気は薄いものの、ここで示されている佇まいの美しさには、抗いがたい魅力があります。
輪郭線は明瞭で、全体的に明快かつ鮮明な音楽づくりありつつ、薫り高さのようなものが備わっている演奏。
実に見事で、素敵な演奏であります。