オーマンディ&フィラデルフィア管によるヒンデミットの≪ウェーバーの主題による交響的変容≫を聴いて

オーマンディ&フィラデルフィア管によるヒンデミットの≪ウェーバーの主題による交響的変容≫(1978年録音)を聴いてみました。

なんとも華麗で色彩的な演奏であります。艶やかさや、滑らかさが感じられもする。随分と開放的なヒンデミット演奏であるとも言えましょう。その分、聴いていて爽快感を覚える。
その一方で、ヒンデミットならではのエネルギッシュでドラマティックな感興にも事欠かない。聴いていて「血が騒ぐ」ような興奮も、充分に備えています。
ヒンデミットの音楽は、次のような特徴を備えていると言えるのではないでしょうか。
シニカルでありつつシシリアス、ちょっぴり諧謔的な側面があると思えば、敬虔な雰囲気を持ってもいる。深刻な素振りを見せつつも、軽妙なところがある。そして、ウィットがある。そのような、屈折した性格を持っているように思えます。
そこへいきますと、この演奏は、あまり深刻な表情をしておらず、鬱屈せずに聴くことができます。伸びやかで、屈託の無いヒンデミット演奏だとも言えそう。そこが、なんとも言えない魅力となっている。
そのうえで、安定感抜群で、美麗でもある演奏に、どっぷりと身を浸すことへの幸福感を味わうことができる。

オーマンディ&フィラデルフィア管ならではの、素敵なヒンデミット演奏であると思います。