クレーメル&ムーティ&ウィーン・フィルによるパガニーニのヴァイオリン協奏曲第4番を聴いて

クレーメル&ムーティ&ウィーン・フィルによるパガニーニのヴァイオリン協奏曲第4番(1995年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
クレーメルによるここでの演奏は、パガニーニの晴朗で明快な世界から隔絶された、鋭さが前面に出たものとなっています。
その象徴が、カデンツァであると言えましょう。ここでは、シュニトケの作品を織り交ぜながら、現代的な感覚が横溢した音楽が奏でられています。そこでは、晴れやかさや朗らかさからは程遠い、妖異な世界が広がっていると言えそう。
そんなカデンツァに限らず、全編を通じて、本当にこれがパガニーニの音楽なのだろうか、という驚きの演奏が繰り広げられています。そう、とても妖しい音楽になっている。頗る鋭角的で、スタイリッシュでもある。しかも、それらがあまり嫌みに感じられないのが凄い。
それは、極めて洗練され音楽になっていて、新たな美感に包まれたものになっているからでありましょう。とても理知的でもある。そして、卓越した技巧に支えられながら、細身でありながらも艶やかで美しい音色を響かせているからでもありましょう。艶やかで、甘美でもある世界、それはまさにパガニーニの音楽の核心部分でもありますので。
そのようなクレーメルに対して、ムーティによる音楽づくりは、イタリア的な感性に富んだものとなっている。そう、晴朗な音楽が奏で上げられているのであります。更には、ウィーン・フィルの柔らかみを帯びた響きは、ここでもとてもチャーミング。この演奏を聴いていて息の詰まる思いを抱かないのは、ムーティ&ウィーン・フィルに依るところが大きいと言えましょう。
とてもユニークな、しかも、頗る魅力的なパガニーニ演奏であります。
尚、最終楽章は、第2番の最終楽章「ラ・カンパネラ」(リストがピアノ独奏曲に転用して有名になったものの原曲にあたる)を彷彿とさせる旋律が紡ぎ上げられていて、親近感の湧いてくる音楽となっています。






