シルヴェストリ&ウィーン・フィルによるショスタコーヴィチの交響曲第5番を聴いて

シルヴェストリ&ウィーン・フィルによるショスタコーヴィチの交響曲第5番(1961年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

シルヴェストリは、時にとんでもない爆演を繰り広げる(或いは、ケレン味たっぷりで個性的な演奏を行う)指揮者でありました。「鬼才」と評言されることもしばしば。しかしながら、ここでは、ケレン味のない端正な音楽づくりが為されています。なんとも真摯で、かつ、切実な音楽が鳴り響いている、とも言いたい。
なるほど、一気呵成にグイグイと推し進められてゆく最終楽章の前半部分を除くと、全体的にテンポは遅め。ジックリと音楽を奏で上げていきながら、濃厚な表情付けが随所で施されています。とは言うものの、恣意的に音楽を崩すようなことは殆どない。必要以上に粘るようなこともない。そのうえで、シリアスな音楽が展開されている。決してド派手な演奏ではなく、ある種の奥床しさのようなものも感じられるのですが、適度にエネルギッシュでドラマティックでもある。
しかも、ウィーン・フィルとの共演というところも頗る魅力的。シルヴェストリは、ウィーン・フィルとは結構な数のセッション録音を遺してくれていますが、その中でも、この演奏はウィーン・フィルの美質が色濃く反映されているものとなっているように思えます。すなわち、しなやかで、柔らかみがあって、艶やかな音で敷き詰められている。そのために、優美さのようなものが感じられるショスタコーヴィチとなっている。

これもまた、シルヴェストリの偽らざる一面なのであります。
そのような魅力を存分に味わうことのできる、なんとも素敵なショスタコーヴィチ演奏であります。