スターン&オーマンディ&フィラデルフィア管によるラロの≪スペイン交響曲≫を聴いて

スターン&オーマンディ&フィラデルフィア管によるラロの≪スペイン交響曲≫(1966年録音)を聴いてみました。

ここでのスターンは、骨太な音楽づくりでありながら、艶やかでもある演奏を繰り広げてくれています。
中身がギッシリと詰まっていて、頗る雄弁な演奏になっている。そんなふうにも言えそう。そう、なんとも凝縮度の高い演奏が展開されているのであります。体幹のシッカリしている演奏だとも表現したくなる。
そのうえで、とても情熱的。と言いますか、情念的。それでいて、情緒に流されるようなことはなく、毅然とした演奏ぶりが示されている。周りに媚びるような素振りも、一切見受けられない。それ故に、「決然としたロマンティシズムを湛えた音楽」とでも形容したくなるような趣きを備えたものとなっています。更に言えば、この作品に相応しい妖艶さが漂っている。堅固でありつつも、流麗で艶美なヴァイオリン演奏となっている。
一方のオーマンディがまた、艶やかにして、豊麗な音楽を奏で上げてくれていています。滑らかにして、華やかさが十分にある。そのような音楽づくりが、スターンの演奏を存分に引き立ててくれている。

ヴァイオリン音楽を聴く歓びに満ちている演奏。更に言えば、協奏曲作品を聴く醍醐味を味わうことのできる演奏となっている。そのうえで、この作品の魅力を存分に楽しむことのできる、聴き応え十分な演奏となっている。
なんとも見事で充実感タップリな、そして、頗る魅力的な演奏であります。