アンチェル&チェコ・フィルによるストラヴィンスキーの≪ペトルーシュカ≫を聴いて

アンチェル&チェコ・フィルによるストラヴィンスキーの≪ペトルーシュカ≫(1962年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

アンチェルならではの、逞しい生命力に貫かれた演奏となっています。強靭であり、鮮烈な演奏が繰り広げられている。
それでいて、決して大袈裟な音楽となっている訳ではありません。粗暴な音楽になっている訳でもない。むしろ、スッキリと纏め上げられていて、洗練味が感じられる。そして、目鼻立ちのクッキリとした音楽が鳴り響いている。そのような演奏ぶりが、≪ペトルーシュカ≫には似つかわしいと言えましょう。
しかも、ここでのチェコ・フィルの響きは、とても古雅なものとなっている。そのことによって、この演奏が過度に煌びやかなものとなるようなことがなく、落ち着いた印象を与えてくれることとなっている。
そのうえで、十分なる躍動感を備えた演奏が繰り広げられています。なおかつ、冒頭の繰り返しになりますが、逞しい生命力を帯びた音楽が奏で上げられている。骨太な≪ペトルーシュカ≫だとも言えそう。

アンチェル&チェコ・フィルのコンビならではの、ユニークな魅力を湛えている≪ペトルーシュカ≫。そんなふうに言いたい。
それでいて、≪ペトルーシュカ≫の音楽世界から懸け離れた演奏になっていないのが、なんとも尊いところ。
あまり話題に上る機会の多くない演奏だと言えるかもしれませんが、多くの音楽愛好家に聴いてもらいたい、素敵な≪ペトルーシュカ≫であります。