ブロムシュテット&バイエルン放送響によるブルックナーの交響曲第9番を聴いて
ブロムシュテット&バイエルン放送響(BRSO)によるブルックナーの交響曲第9番(2009年ライヴ)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
当盤は、1999年から2017年にかけて、BRSOが演奏会で採り上げたブルックナーの交響曲のうち、マゼール、マリス・ヤンソンス、ハイティンク、そしてブロムシュテットの4人が指揮した9曲を選んで、セットに纏め上げられた交響曲全集の中の1枚。ブロムシュテットによる演奏は、この第9番のみとなっています。
ブロムシュテットならではの、清廉なブルックナー演奏となっています。ケレン味が全く感じられない。
重々しさのない、そして、粘り気のないブルックナー演奏であります。速めのテンポを基調としながら、スッキリと纏め上げられていて、なおかつ、推進力に満ちた演奏が展開されている。演奏時間は57分弱。
それでいて、音楽がサラサラと流れてゆくようなことはありません。彫琢の深い演奏となっている。最終楽章において殊更に顕著なことなのですが、情感豊かでもある。その結果として、「清らかなコク」と表現したい味わいが生まれていると言いたい。
そのうえで、目鼻立ちのクッキリとした音楽が鳴り響いている。音の粒が立ってもいる。見通しが頗る良い。スッキリと纏められていると書いたのは、そのような演奏ぶりに基づいてのこと。しかも、大袈裟にならない範囲で壮麗でもある。
そのようなブロムシュテットの音楽づくりに呼応するかのように、BRSOのニュートラルな響きが、この演奏に漂う清澄な雰囲気を増してくれています。過度に重厚になるようなことがないものの、充実した音を鳴り響かせてくれてもいる。
誇張の一切ない演奏。そして、純美な音楽世界の広がっている演奏となっている。
ブロムシュテットとBRSOのお互いの美質がギッシリと詰まっている、見事な、そして、素敵なブルックナー演奏であります。