クリップス&ウィーン・フィルによるハイドンの交響曲第99番を聴いて
クリップス&ウィーン・フィルによるハイドンの交響曲第99番(1957年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
優美にして、瀟洒な演奏となっています。古雅な音楽世界が広がっている。そして、頗る端正でもある。
鄙びていて、素朴で、おおらかでありながらも、気品のある演奏が繰り広げられています。キリっと引き締まっていて、凛としている。しかも、まろやかでもある。暖かみに溢れている。表情に親しみやすさが感じられる。そのような演奏ぶりが、ハイドンに似つかわしい。
そして何よりも、とても美しい。クッキリとした造形を持った演奏となっています。
そのうえで、おっとりしているようでいて、十分なる躍動感が宿っている。そう、キビキビとしていて、小気味の良い音楽が奏で上げられているのであります。
格調が高くて、かつ、大袈裟にならない範囲で雄大でもある。いや、風格豊かと言ったほうが、より相応しいかもしれません。
そのようなクリップスの演奏ぶりに添えられている、ウィーン・フィルによる古色蒼然とした響きのその先から漂ってくるエレガントな美しさが、この演奏をより一層魅力的なものにしてくれています。
純美な音楽世界に身を浸すことのできる演奏。とても滋味深くもある。そして、ハイドンを聴く歓びに満ち溢れている。
シュワルツコップが、「一番お世話になった指揮者」と感謝の意を表していたクリップス。そんなクリップスの奥義を堪能することのできる演奏だとも言いたい。
なんとも素敵なハイドン演奏であります。