フランソワ&クリュイタンス&パリ音楽院管によるラヴェルの2曲のピアノ協奏曲を聴いて

フランソワ&クリュイタンス&パリ音楽院管による演奏で、ラヴェルが作曲した2曲のピアノのための協奏曲(1959年録音)を聴いてみました。

エレガントで薫り高く、瀟洒な演奏となっています。そのうえで、色彩豊かで鮮烈でもある。
音楽全体が実に生き生きとしている。頗るしなやかでもある。全編を通じて、音楽が自然に息づいています。精妙にして、多彩な色合いを湛えてもいる。更に言えば、気品に満ちた表情を浮かべながら、演奏が展開されている。風格豊かでもある。両手のための協奏曲の第2楽章などは、頗る詩情の豊かな音楽が鳴り響いている。同曲の最終楽章などは、躍動感に溢れている。左手のための協奏曲などでは、艶やかにして芳醇な演奏が繰り広げられている。
しかも、力強さにも不足はありません。ドラマティックにして、ヴィヴィッドな演奏となっている。そう、逞しい生命力の宿っている音楽が鳴り響いています。そのうえで、切れ味の鋭さを備えてもいて、誠に痛快でもある。
そのような演奏ぶりによって、この2作に込められたウィットに満ちた世界や、妖艶な世界が、鮮明に浮かび上がってくる。なおかつ、オシャレな感覚を備えた音楽となっている。

いったい、これ以上、何を望むことができましょう。
この2曲の協奏曲を思う存分に楽しむことのできる演奏。更に言えば、音楽を聴く歓びを噛みしめることのできる演奏。
いやはや、なんとも素晴らしい演奏であります。