アンドリス・ネルソンス&ボストン響によるショスタコーヴィチの交響曲第6番を聴いて

アンドリス・ネルソンス&ボストン響によるショスタコーヴィチの交響曲第6番(2017年ライヴ)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

生命力が豊かであり、かつ、端整な演奏であります。克明な演奏でもある。
全編を通じて、こけおどしのない演奏ぶりが示されています。それはもう、誠に真摯な演奏が展開されている。そのうえで、ショスタコーヴィチらしい、辛辣さや、真面目さや、おどけた雰囲気や、といったものがシッカリと表出されている。しかも、それらが空中分解せずに、秩序あるものとして表されている。であるからこそ、端然とした演奏でありつつも、生彩感に溢れた音楽が鳴り響くこととなっているのであります。
そのうえで、これはボストン響の体質にも依るのでしょうが、キリッと引き締まっていて、清潔感が漂っている。そう、品位のようなものが感じられるショスタコーヴィチとなっている。あまり、寒々しくないショスタコーヴィチだとも言えそう。更には、清々しくもある。しかも、力感も充分。
しかも、透明感のある演奏となっている。凝縮度が高くもある。それでいて、凛とした佇まいの中から、適度なふくよかさや伸びやかさが感じられもする。
そのような中で、エンディングの部分は、充分な盛り上がりが示されていつつも、全くドンチャン騒ぎになっていない。

誇張のない音楽づくりの中から、活力に満ちていて、かつ、純粋なる音楽美が現れてくるようなショスタコーヴィチ演奏となっている。
聴き応え十分で、なんとも素敵な演奏であります。