シャイー&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管によるメンデルスゾーンの≪スコットランド≫を聴いて
シャイー&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管(LGO)によるメンデルスゾーンの≪スコットランド≫(2009年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。
イタリア人指揮者には、メンデルスゾーンを得意にしている人が多いように思えます。アバド然り、ムーティ然り。それは、メンデルスゾーンの音楽が、流麗で、歌心に満ちているからなのかもしれません。
シャイーもまた、メジャーレーベルへの音盤デビューをマスネの≪ウェルテル≫で果たした直後、オーケストラ作品でのデビュー作としてメンデルスゾーンの≪讃歌≫と≪スコットランド≫を録音したように、メンデルスゾーンに愛着を寄せている指揮者だと言えるのではないでしょうか。
さて、ここでのLGOを指揮しての≪スコットランド≫もまた、大変に素晴らしい。
メンデルスゾーンにしては、かなり激烈で劇的な演奏ぶりになっていると言えましょう。しかしながら、メンデルスゾーンの作品の中でも、規模が大きくて、雄大かつ勇壮な性格を有する≪スコットランド≫では、ここでのシャイーのような音楽づくりもシックリきます。
全編を通じて、推進力に満ちていて、逞しい音楽が鳴り響いています。それはもう、実にエネルギッシュにしてドラマティックな演奏が展開されている。そして、メンデルスゾーンならではの明朗な音楽世界(朗らかな音楽世界)が広がるというよりも、燃え滾るように熱い音楽が鳴り響いている。音楽がうねりにうねっている。そのうえで、壮麗にして輝かしいクライマックスが築かれてゆく。
独自の魅力を備えている、素敵な≪スコットランド≫であります。
なお、この演奏では、1842年ロンドン版が採用されています。この交響曲は、1842年にライプツィヒで初演されていますが、同年にメンデルスゾーンがイギリスを訪問した際にヴィクトリア女王に献呈されています。その折に改訂されたのが、1842年ロンドン版になります。
第1楽章の終結部や、第4楽章の多くの箇所などで、通常版とは異なるフレーズが出てくるなどして、その点でも興味深い1枚と言えるでしょう。