リパッティ&カラヤン&フィルハーモニア管によるシューマンのピアノ協奏曲を聴いて

リパッティ&カラヤン&フィルハーモニア管によるシューマンのピアノ協奏曲(1948年録音)を聴いてみました。

リパッティと言えば、リリシズムに溢れたピアニストだというイメージが強い。そこへいきますと、ここでは、リパッティらしい透徹された演奏が繰り広げられているとともに、情熱的な演奏となっています。それはもう、激情的だと言っても良いほどに。
音楽が存分にうねっています。そこに、リパッティの感情の高ぶりが感じられる。しかも、リパッティによる演奏にしては、かなり強靭でもある。
この演奏の端々から、メラメラと燃え上がるテンペラメントが感じ取ることができます。そういった様が、シューマンのこの作品には誠に似つかわしい。
それでいてやはり、リパッティらしいピュアな美しさを湛えている演奏となっています。音楽がどんなに激しく奏で上げられても、そして、どんなに強靭なタッチが繰り出されても、品格を損ねるようなことはなく、典雅で優美な音楽が鳴り響いている。その様は、洗練の極致だと言えましょう。そのために、音楽全体が凛としていて、気品が感じられる。透明感に溢れてもいる。そのうえで、充分に逞しくもあるのです。
そのようなリパッティをサポートするカラヤンの音楽づくりは、颯爽としていて情熱的。そして、洗練味が感じられる。そのうえで、推進力豊かで、めくるめく音楽世界を表出してくれてもいる。

胸のすく思いを覚える演奏であるとともに、心に染み入る素晴らしい演奏であります。