コリン・デイヴィス&シュターツカペレ・ドレスデンによるシューベルトの≪ザ・グレート≫を聴いて

今日はシューベルトの誕生日。この日には、極力、≪ザ・グレート≫を聴くようにしています。
そこで今年は、こちらを聴いてみました。コリン・デイヴィス&シュターツカペレ・ドレスデン(SKD)が制作したシューベルトの交響曲全集の中の1枚(1996年録音)。

どっしりと構えた、重厚感タップリで、安定感や充実感もタップリな演奏が繰り広げられています。重心を低く取りながら、ズシリと腹に響いてくるような音楽が奏で上げられている。そのうえで、決してこれ見よがしではないのですが、宏大な世界がスキっと広がっているような、気宇の大きさが感じられもする。
そう、とても立派な演奏ぶりでありながら、押しつけがましさが微塵もなくて、重苦しさの感じられない演奏となっているのであります。むしろ、清々しさを覚える。格調が高くて、キリっとしていて、凛々しい演奏が展開されている。そして、清潔感や優美さが感じられもする。それらは、SKDの体質に依るところが大きいと言えましょう。更に言えば、デイヴィスの潔癖で誠実で、かつ、朗らかで暖かみのある人間性にも依るのでしょう。

スケールの大きな演奏であり、しかも、実に生き生きとしていて、息遣いは自然。そして、凛々しくて、伸びやかで晴朗な音楽となっている。そのような性格の全てが、この作品には、誠に似つかわしく思える。
聴き応え十分な、そして、とても素敵な演奏であると思います。