アルゲリッチ&シャイー&ベルリン放送響によるラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を聴いて

アルゲリッチ&シャイー&ベルリン放送響によるラフマニノフのピアノ協奏曲第3番(1982年録音)を聴いてみました。

アルゲリッチらしい、なんとも激情的で、奔放な演奏であります。しかも、動物的と言いますか、本能的と言いますか、機敏で、煽情的で、しなやかな演奏となっている。そこに、うねりや、激情や、切迫感や、陶酔感や、が織り込まれてゆく。音楽を、ガンガンに追い込んで行っている、とも言えそう。
それらをエンジンとしながら、ドラマティックで、エネルギッシュで、スリリングで、ロマンティックな音楽が展開されてゆく。実にホットでもある。緩徐楽章でのノスタルジックな歌も、心に染み入る。そういった様が、ラフマニノフの音楽には、なんとも似つかわしい。
しかも、決して感情に流されない「的確さ」を伴ってもいる。そのために、音楽のフォルムが崩れていない。熱く燃え滾っているにも関わらず、冷静さを失わない演奏ぶりとなっているとも言えそう。
そのようなアルゲリッチをバックアップするシャイーの、情熱的、かつ、しなやかな演奏ぶりもまた、実に素晴らしい。

熱演であり、精細で克明な演奏。
いやはや、驚異的な素晴らしさを持っている演奏であります。