クレンペラー&フィルハーモニア管によるメンデルスゾーンの≪スコットランド≫を聴いて

クレンペラー&フィルハーモニア管によるメンデルスゾーンの≪スコットランド≫(1960年録音)を聴いてみました。

なんとも気宇の大きな演奏であります。それはもう、悠揚迫らぬと言いたくなるほどに。どっしりと構えながら、一歩一歩噛みしめるようにして進められてゆく。
テンポは概して遅め。しかしながら、音楽が弛緩するようなことはなく、緊張感があり、逞しい生命力の漲っている演奏となっています。内的充実度と言えるようなものが、極めて高くもある。
なるほど、クスリとも笑わない、しかめっ面をしているような演奏だと言えましょう。とても謹厳な音楽世界が広がっている。それでいて、ここには豊かな抒情性や浪漫性が備わっていると思うのであります。内に秘めた熱い感情の迸りが感じられもする。それがまた、この演奏を魅力あるものにしてくれている。

威容を誇る、堂々たるメンデルスゾーン演奏。いやはや、実に立派で見事な、そして、頗る素敵な演奏であると思います。
尚、クレンペラーは、メンデルスゾーンが書いた終結部に納得しておらず改編を施していますが、この演奏ではメンデルスゾーンによるオリジナルの終結部が使用されています。