バーンスタイン&ウィーン・フィルによるブラームスの交響曲第3番を聴いて

バーンスタイン&ウィーン・フィルによるブラームスの交響曲全集から第3番(1981年録音)を聴いてみました。

濃密な音楽が奏で上げられています。
全編を通じて、陰影に富んだ表情をしていると言えましょう。そして、ロマンティックでもある。第2,3楽章では、儚さが表出されてもいる。
そのような演奏ぶりでありつつ、と言いましょうか、前半の3つの楽章では力任せに音楽を掻き鳴らしている訳ではありません。力加減で言えば6分~8分くらいといったところでしょうか。テンポも抑え気味で(1980年代中盤以降のバーンスタインに特徴的な「超スローテンポ」ほどではありませんが)、抑制の効いた演奏となっている。
なるほど、前半の3つの楽章においても、適度に情念的であり、適度に音楽がうねっています。例えば、第1楽章の結び近くで音楽が高揚する場面では、殊更にテンポを落として、粘り気を強くしながら情念的な音楽を鳴り響かせている。更には、第3楽章では、この楽章ならではの感傷的かつ情緒的な音楽が奏で上げられている。
更に言えば、適度に熱く燃え滾ってもいる。
とは言いつつも、必要以上にエネルギーの発散が行われるようなことはありません。それよりももっと、節度を保った演奏ぶりが示されていると言えそう。であるからこそ、端正な音楽が鳴り響くこととなっている。
そうした演奏ぶりを経て、最終楽章でエネルギーが一気に爆発される。音楽は驀進し、荒れ狂い、ときに咆哮を聞かせる。感情の奔流。それはまさに、快刀乱麻を断つが如し。誠に劇的であります。音楽そのものに与えられている緊張感や焦燥感も、かなり高いと言えましょう。そして、最後の場面での恬淡とした表情も、実に見事。
そのうえで、ウィーン・フィルの献身的な演奏ぶりや、このオーケストラならではの美感に満ちた響きや、しなやかな音楽性は、ここでも誠に魅力的であります。

そんなこんなによって、ブラームスが作品に籠めたロマンティシズムが、充分に発散されてゆく。
なんとも個性的な、そして、素敵な演奏であります。

なお、前半の3つの楽章は抑えめに演奏し、最終楽章で一気に爆発させる、といった構造は、バーンスタイン&ウィーン・フィルによるブラームスの交響曲全集に一貫した特徴である思われるのですが、この第3番では、殊のほか鮮やかに実を結んでいると言えそう。