マリナー&コンセルトヘボウ管によるホルストの≪惑星≫を聴いて

マリナー&コンセルトヘボウ管によるホルストの≪惑星≫(1977年録音)を聴いてみました。

当盤は、コンセルトヘボウ管にとっての≪惑星≫の初録音であり、かつ、ロンドン・フィルとのスッペの序曲集に続いてマリナーがフル編成のオーケストラと録音した第2弾、ということで、大きな話題をさらったものでした。そして、この演奏を魅力あるものにしているのは、やはりコンセルトヘボウ管であると言えましょう。
ここでのコンセルトヘボウ管の響きは、このオケならではの芳醇なもので、誠に素晴らしい。全く華美な響きではないものの、底光りがするような美しさを湛えています。しかも、重心を低く取った音は、安定感が抜群。更には、これ見よがしなところは皆無でありつつも、合奏力の高さが示されている。その点においても、安定感は抜群。堅牢な造りをしているとも言えそう。
そのようなコンセルトヘボウ管を相手に、マリナーは彼特有の爽快な音楽を掻き鳴らしてゆくというよりも、ドッシリと構えた音楽づくりを施している。そう、ズシリとした手応えのある音楽となっているのです。
とは言え、音楽がダブつくようなことは全くありません。なるほど、颯爽としている、或いは、清々しい音楽が展開されている、という訳ではなく、適度な重厚感を備えていつつも、音楽に濁りが無い。ふくよかでありつつも、決してカロリーの高い演奏とはなっていない。力で押し切るような素振りも、全く見受けられない。
そんなこんなによって、確乎たる構えをした、充実度の高い音楽が奏で上げられていて、なおかつ、格調が高くて、純美な音楽が鳴り響くこととなっている。そう、何から何までが、美しい音楽となっているのです。それは、響きにおいても、そして、音楽が示している佇まいにおいても。
そのような演奏を実現し得たのも、マリナーの音楽センスの高さ故なのだと言えましょう。

スペクタクルな派手さのない≪惑星≫。そんなふうにも言えましょう。その一方で、奥深く、かつ、コクの深さを湛えた魅力を備えている≪惑星≫となっている。
私の中では、独自のポジションを占めている、なんとも素敵な≪惑星≫であります。