イ・ムジチ合奏団によるヴィヴァルディの≪四季≫(アーヨ盤・1959年のステレオ録音)を聴いて

アーヨが独奏ヴァイオリンを担当してのイ・ムジチ合奏団によるヴィヴァルディの≪四季≫のステレオ再録音盤(1959年録音)を聴いてみました。
この作品のブームをもたらした、大ベストセラーとなった当盤。その演奏はと言いますと、実に流麗なものとなっています。太陽の光が燦々と降り注いでいるかのような晴れやかさと朗らかさに包まれている。そして、爽やかで、滑らかで、耳に快い演奏となっている。
そのうえで、アーヨによるヴァイオリンの、なんと艶やかなこと。
全体的に、現代の主流となっている鋭利な演奏と比べると、或いは、同じイ・ムジチによる演奏であっても1980年代にカルミレッリと録音したものや、それ以降に録音されたものと比べても、随分と穏当であり、晴れやかで伸びやかであり、弾力性を帯びていて、美麗な演奏となっています。逆に言うと、1970年代辺りまでの、ヴィヴァルディの音楽に求められていた演奏像の理想的な姿がここにある。そんなふうに言えるのではないでしょうか。
今となっては、「郷愁」のようなものが感じられる演奏。それでいて、決して陳腐な音楽にはなっていない。いやむしろ、今聴くからこそ、ここでの流麗さは、とても貴重であり、強く惹かれます。
しかも、例えば≪夏≫の最終楽章などは、充分に激しくて、エネルギッシュな演奏が展開されている。
総じて暖色系の演奏ぶりでありつつも、冴え冴えとしていて、音楽が澄み切っている。そう、一点の曇りもない晴れ晴れとした演奏。そして、音楽そのものが精彩を放っているかのよう。
永遠に朽ちることのない魅力を備えた、頗る素敵な≪四季≫。まさに、「これぞエバーグリーンな演奏」の代表格と言えそうな存在だと思えてなりません。





