ヴァント&北ドイツ放送響によるモーツァルトの≪ポスト・ホルン≫を聴いて

ヴァント&北ドイツ放送響によるモーツァルトの≪ポスト・ホルン≫(2001年ライヴ)を聴いてみました。
図書館で借りたCDでの鑑賞になります。

当盤は、ヴァント(1912-2002)が90歳で死去する前年の演奏会をライヴ録音したものであります。
その演奏はと言いますと、実に若々しくて、覇気の漲ったものとなっています。この作品に相応しい、小躍りしたくなるような愉悦感に溢れている。頗る晴朗な音楽が鳴り響いてもいる。そう、一点の曇りもない晴れやかな演奏が展開されていると言いたい。
しかも、過度に浮かれているような風情はない。そう、とても凛とした音楽が奏で上げられているのであります。やや速めのテンポが貫かれていながらも、地に足をつけた安定感抜群の演奏が展開されている。充実感タップリでもある。ブレの全くない、王道を行くような演奏ぶりだとも言えそう。
そのうえで、とてもチャーミングな音楽が鳴り響いている。なんとも典雅であり、清々しくもある。
そのような中でも、木管楽器群を中心としたコンチェルタンテな楽章となっている第3,4楽章でのエレガントな演奏ぶりや、緩徐楽章である第5楽章での沈鬱にならない澄明な演奏ぶりが、グッと胸に沁みてくる。そのようなことも含めて、なんともコクの深い演奏となっています。雅趣に富んでいる、芳醇な音楽世界が広がってゆく演奏だとも言いたい。

≪ポスト・ホルン≫は、モーツァルトが作曲したセレナードの中で一番好きな作品なのですが、その魅力をストレートに味わうことのできる、なんとも素敵な演奏であります。