シューリヒト&ハーグ・フィルによるブルックナーの交響曲第7番を聴いて

シューリヒト&ハーグ・フィルによるブルックナーの交響曲第7番(1964年録音)を聴いてみました。

自然な音楽の流れの中に、峻厳な音楽世界が広がっている演奏。そんなふうに言えるのではないでしょうか。
シューリヒトの多くの演奏がそうであるように、ここでの演奏は全く大言壮語したものにはなっていません。どちらかと言えば、サラサラと流れてゆく場面が多い。それでいて、とても厳格な音楽となっている。しかも、誇張が見受けられない。そうであるが故なのでありましょう、清冽な音楽が鳴り響いている。それはもう、世間の塵に全くまみれていない音楽になっていると言いたい。
外観上は、スケールの大きさは感じられません。壮麗でもない。枯淡な音楽。寂寥たるブルックナー演奏だと言えるかもしれない。しかしながら、その奥に壮大な音楽が横たわっている。そんなふうに感じられる。
それでいて、例えば第1楽章では、展開部に入ると、突然に熱気を帯びてくる。それに伴って、骨太で、かつ、彫琢の深い音楽が奏で上げられることとなっている。その辺りのギアチェンジが見事であります。しかもそれが、それまでの音楽づくりと齟齬をきたすようなことはなく、音楽に劇性を加えることとなっている。コクを生むこととなってもいる。
もっと極端な例は、第3楽章のスケルツォでありましょう。ここでは、逞しいまでの推進力を湛えた音楽が奏で上げられています。キビキビとした音楽となっている。更に言えば、立体感のある音楽づくりがなされている。そして、中間部では夢見るようなロマンティックな世界が広がることとなっている。全4楽章の中でも、第3楽章での演奏ぶりは、他とは性格を異にしたものになっていて、その辺りがまた、実に興味深い。シューリヒトの音楽性の幅広さを物語っているとも言えそう。
また、第2楽章では、過度に感傷的になるようなことはないものの、「清らかな祈り」と呼びたくなる音楽が奏で上げられています。決して大袈裟な表現が採られている訳ではないのですが、ジッと心に染み入る音楽が鳴り響いている。そして、2つ目の主題などでは、切実なる歌が秘められていたりもする。それに伴い、次に1つ目の主題が戻ってくると、最初に提示された時よりも大きな抑揚が付けられる、といった「音楽における発展」が見出せたりもする。

なんとも味わい深い演奏であります。そして、シューリヒトならではの妙技が織り込まれた、なんとも魅惑的なブルックナー演奏であります。