カンテルリ&NBC響によるフランクの交響曲を聴いて

カンテルリ&NBC響によるフランクの交響曲(1954/4/6セッション録音)を聴いてみました。
MNL(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

この演奏は、トスカニーニが演奏活動に終止符を打つことになった、NBC響とのオール・ワーグナー・プログラムの演奏会から2日後に録音されたもの。

トスカニーニの後継者と目されていたカンテルリ。しかしながら、1956年に飛行機事故に遭い、36歳でこの世を去ることとなったカンテルリ。
そのようなカンテルリによる、ここでのフランクは、トスカニーニを彷彿とさせるような明晰な演奏となっています。逞しい生命力に貫かれている。とても剛直でもある。そして、歌心に満ちている。
なるほど、トスカニーニほどには強靭な演奏にはなっていません。或いは、トスカニーニほどに灼熱のごとき熱い演奏にはなっていません。その一方で、トスカニーニよりも骨太な感じがする。
それでもやはり、カンテルリによる演奏はトスカニーニを思わせるところが多い。速めのテンポでグイグイと押してゆき、推進力に溢れた音楽が奏で上げられている。それでいて、毅然としていて、凛としている。そして、とても輝かしい。剛毅でありつつも、伸びやかでしなやかでもある。
しかも、理性をかなぐり捨てて音楽を掻き鳴らすのではなく、整然とした音楽づくりが為されているところも、トスカニーニに似ている。

このような演奏を聴きますと、不慮の事故による早逝がつくづく悔やまれます。
カンテルリの演奏が如何に魅力的であったのかを体感することのできる、素晴らしい演奏。そのように言えるのではないでしょうか。