マズア&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管によるブルックナーの交響曲第7番を聴いて
マズア&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管によるブルックナーの交響曲第7番(1974年録音)を聴いてみました。
あまり重厚長大な方向性を示すことのない、清澄な雰囲気を湛えているブルックナー演奏となっています。頗る堅実で実直な演奏ぶりだとも言えそう。
テンポは、速からず遅からず。弾き飛ばすようなことは一切せず、一歩一歩じっくりと踏みしめながら歩みを進めていく。それでいて、粘らずにスッキリとした佇まいが示されている。ゴツゴツとした感触もない。
そのうえで、巨大な建造物が聳え立つようなブルックナー演奏というよりも、おしつけがましさの全く無い、明澄で透明感に溢れたブルックナー演奏が展開されています。流れが誠に自然でもある。そして、淀みなく流れている。更には、息遣いが豊か。安定感も十分。
第2楽章も、大袈裟な表現が施されている訳ではないものの、十分に敬虔な音楽世界が広がっています。そして、この楽章においても、とても清浄な音楽が鳴り響いている。足取りには、伸びやかさやしなやかさが感じられもする。
そのようなマズアの音楽づくりに、ゲヴァントハウス管の華美でない代わりにコクを感じさせてくれる芳醇な響きが加わることによって、この演奏の魅力はいや増していると言いたい。
肩肘張って聴く必要のない、それでいて、じっくりと耳を傾けながら聴き進めていきたい、素敵なブルックナー演奏。そんなふうに言えましょう。
なお、ハース版が使われていまして、第2楽章ではシンバルとトライアングルが鳴らされることはありませんが、その選択も、この清澄にして質実な演奏には相応しいように思えます。