ガーディナー&ウィーン・フィルによるメンデルスゾーンの≪イタリア≫を聴いて
ガーディナー&ウィーン・フィルによるメンデルスゾーンの≪イタリア≫(1997,98年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
当盤には、一般的に演奏されている版(一般稿)とともに、第2~4楽章の3つの楽章の改訂版も併せて収録されています。
改訂版、素材は一般稿と同じものが使われているのですが、少々饒舌に過ぎるように思えます。持って回った感じが付きまといもする。一般稿のほうが、纏まりが良いように思える。
さて、ここで聴くことのできる演奏はと言いますと、実に清明なもの。なんとも清々しくて、かつ、朗らかで伸びやかな演奏が繰り広げられています。
スキッと爽やか。颯爽とした佇まいを見せてくれている。速めのテンポで、キビキビと、そして、生き生きと奏で上げられてゆく。推進力に溢れたものとなっている。最終楽章に顕著であるように、適度な熱気を孕んでもいる。そのうえで、贅肉が全く付いておらず、キリっとした姿と表情をした音楽が鳴り響いている。
しかも、音楽そのものが、何とも言えないしなやかさを持っているのです。スリムでありつつ、ふくよかさが感じられもする。そして、とても優美。なんともチャーミングでもある。この辺りにつきましては、ウィーン・フィルの美質が生かされている結果なのではないでしょうか。
この曲の魅力を存分に味わうことのでき素敵な演奏であります。
それとともに、≪イタリア≫の改訂版を聴くことができるという点で、貴重な音盤でもあろうかと思います。