マルティノン&ロンドン響によるボロディンの交響曲第2番を聴いて
マルティノン&ロンドン響によるボロディンの交響曲第2番(1960年録音)を聴いてみました。
途轍もないほどに力感に溢れている演奏が繰り広げられています。音楽全体が、実に逞しくて、骨太なものとなっている。それはまさに、ボロディンがこの作品で描こうとした音楽世界に相応しいと言いたい。
緩徐楽章である第3楽章を例外として、速めのテンポ(冒頭部分などで顕著なように、箇所によっては過激なまでの急速さ)でグイグイと押しながら、怒涛の音楽を展開させてゆく。それはもう、息をつかせぬような勢いを持った音楽。凄まじいまでの推進力を持って音楽は突き進んでいきます。しかも、サラッとしている訳ではなく、大きな音圧を有している。徹頭徹尾、重量級の音楽。
それでいて、全く粗野ではない。毅然としていて、演奏全体に凛とした佇まいが感じられる。
更に言えば、頗る鮮烈。輪郭線の鮮明な演奏が展開されています。粒立ちがクッキリとしてもいる。何もかもが、クリアな出で立ちをした音楽が響き渡っている。
そのような中で、第3楽章では連綿とした歌が広がっているのが、誠に印象的であります。この演奏に大いなるコントラストを付けることとなっている。ここでのマルティノンの演奏ぶりは、決してセンチメンタルに傾いている訳ではなくキリッとしたものになっているのですが、切々たるロマンティシズムが漂ってきていて、むせぶような音楽となっている。
聴いていてワクワクしてくる、実に魅力的な演奏。そして、この作品の魅力を存分に味わうことのできる、鮮やかな演奏であります。