スウィトナー&シュターツカペレ・ドレスデンによるスッペの序曲集を聴いて

スウィトナー&シュターツカペレ・ドレスデン(SKD)によるスッペの序曲集(1969年録音)を聴いてみました。
収められているのは、下記の6曲。
≪美しきガラテア≫序曲
≪詩人と農夫≫序曲
≪怪盗団≫序曲
≪軽騎兵≫序曲
≪陽気な若者≫序曲
≪スペードの女王≫序曲

なんとも格調の高い演奏であります。端正で、凛としていて、芳香を放つかのような音楽が鳴り響いている。
そのうえで、聴いていて心が浮き立ってくる。音楽に接する愉しさに満ち溢れています。それはまさに、オペラの(オペレッタの)序曲として、誠に相応しい音楽世界が広がっていると言えそう。全編を通じて、頗る瀟洒で、軽快で、高揚感に溢れた音楽が鳴り響いている。
しかも、俗っぽさはこれっぽっちも感じられない。薫り高くて、豊かな音楽センスが感じられる演奏となっています。
このような演奏となっているのは、もちろんスウィトナーの音楽性に依るところが大きいのでしょうが、それと同時に、いや、それ以上に、オケがSKDであるが故のことであるように思えてなりません。それはもう、気品溢れる美しい音で敷き詰められた演奏となっている。

ここでは、もともとがチャーミングな魅力に包まれているスッペの音楽が、殊更にチャーミングに鳴り響いています。しかも、頗る品格が高い。そして、音楽を聴く歓びや愉しさに溢れている。
当盤、忘れかけられている存在だと言えるかもしれませんが、1人でも多くの音楽愛好家に聴いてもらいたい、素敵な素敵な音盤であります。