ウラッハ&ウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団によるモーツァルトのクラリネット五重奏曲を聴いて
ウラッハ&ウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団によるモーツァルトのクラリネット五重奏曲(1951年録音)を聴いてみました。
優美であり、かつ、儚さの感じられる演奏であります。幽玄の世界に遊ぶような音楽だとも言えそう。この作品には、もともとが、そのような性格が備わっていると思えますが、この演奏では、それがかなり前面に出ている。
ウラッハによるクラリネットの音は、まろやかで柔らかくて、誠に美しい。そして、比重が軽いと言いましょうか、宙を漂うような趣きがある。であるが故に、儚さが感じられるのでありましょう。とりわけ、第2楽章において、顕著に感じられる。
ウィーン・コンツェルトハウスSQの、甘美で艶やかな響きと、しなやかな身のこなしもまた、なんとも素敵であります。音楽から気品が漂ってきている。
演奏全体に、こせこせしたところが全くない。ある意味、のんびりとした演奏だと言えなくもないのですが、情緒連綿たる味わいには独特の魅力があります。
現代的なテイストからは懸け離れた、古雅な雰囲気に包まれている、素敵な魅力を湛えた演奏であります。
それにしましても、この時期のウェストミンスターレーベルが録音した、ウィーン・フィルのメンバーを中心とした室内楽作品の数々、どれも素晴らしいですよね。人類の宝だと言えましょう。